政治・経済・歴史的な

ブレクジット–Brexit–について考える

英議会下院において反対多数でメイ首相の協定案が否決されたことでイギリスのEU離脱が再度大きく注目されています。
そこでブレクジットについて押さえておきたい点を勉強していきたいと思います。

ブレクジット(Brexit)とは?

ブレクジットは二つの言葉からできています。
それは「Britain」と「Exit」です。イギリスEU離脱のことをブレクジット「Brexit」と言います。

ブレクジットの初出は調べてみると、どうやら2012年にあるようです。以下がその記事です。

最後に出てきますね。

Unless a clear view is pushed that Britain must lead in Europe at the very least to achieve the completion of the single market then the portmanteau for Greek euro exit might be followed by another sad word, Brexit.

英国が単一労働市場の完成を少なくともヨーロッパの中でリードしなければならないという明確なヴィジョンが推し進められない限り、ギリシャユーロ離脱のためのケースはもう一つの悲しい言葉によって追従されるかもしれない:ブレクジットという言葉によって。

なぜイギリスはEU離脱を考えるに至ったのか?

この主な要因としては当時2009年頃から始まるユーロ危機とイギリスが直面していた移民の問題が大きいようです。移民の推移を次の図に示します。

移民数は1997年の労働党政権誕生を機に毎年10万人規模で増加し、2001年の移民規制緩和で更に10万人近く増加しました。背景にあったのはイギリスが直面していた労働力不足の深刻さにあり、それへの対処として政策がなされていったのでしょう。

しかしその一方で、移動の自由を認めるEUへの反感も高まっていったと考えれます。国民投票への機運はそういった雰囲気の中で醸成されていったと考えることができます。イギリスにとってEUとの関係を再考する必要に直面していたのです。

そうした中でキャメロン保守党がマニフェストに国民投票を謳い政権を獲得するという流れができあがったいえます。

離脱に関するルールについて

離脱に関するルールはArticle 50に書かれています。全文引用します。

Article 50

1. Any Member State may decide to withdraw from the Union in accordance with its own constitutional requirements.

2. A Member State which decides to withdraw shall notify the European Council of its intention. In the light of the guidelines provided by the European Council, the Union shall negotiate and conclude an agreement with that State, setting out the arrangements for its withdrawal, taking account of the framework for its future relationship with the Union. That agreement shall be negotiated in accordance with Article 218(3) of the Treaty on the Functioning of the European Union. It shall be concluded on behalf of the Union by the Council, acting by a qualified majority, after obtaining the consent of the European Parliament.

3. The Treaties shall cease to apply to the State in question from the date of entry into force of the withdrawal agreement or, failing that, two years after the notification referred to in paragraph 2, unless the European Council, in agreement with the Member State concerned, unanimously decides to extend this period.

4. For the purposes of paragraphs 2 and 3, the member of the European Council or of the Council representing the withdrawing Member State shall not participate in the discussions of the European Council or Council or in decisions concerning it. A qualified majority shall be defined in accordance with Article 238(3)(b) of the Treaty on the Functioning of the European Union.

5. If a State which has withdrawn from the Union asks to rejoin, its request shall be subject to the procedure referred to in Article 49.

離脱案について

メイ首相は2017年3月29日に交渉を開始したので、その2年後の2019年3月29日が交渉終了日=EU離脱日になります。もし両者間で合意した文書がそれぞれの議会で承認されれば“合意ある離脱”、もし承認されなければ“合意なき離脱”となります。

こちらがEUとイギリスの間で交わされた文書です。2018年11月25日に決定されました。とても長い文書であり、読むのにとても苦労します(これがすらすら読めたらすごいです)。

そして今回、英下院で否決されたため“合意なき離脱”へまっしぐらということになります。

ブレクジットはやめることができるのか?

基本的にできません。法的に決まっているからです。

今後の展開について

今回の否決をうけ、メイ首相は代替案を1月21日までにしめさなければなりません。
そしてそこからどのような展開が考えれるのでしょうか?

  • No Deal:離脱する
  • Referendum:国民投票
  • Renegotiate:再交渉
  • General Election:選挙
  • Vote of No Confident:不信任投票

    今後どうなっていくかとても注目です。
    ざっと見てきたのみですが、ブレクジットの経緯はとても難しいと感じました。また2000年以降のヨーロッパの動きを勉強しないと全体を把握するのはとても大変です。

    ただ労働力不足から移民受け入れ拡充への流れは今の日本と、とても似ているところがあり、日本がジャパクジットJapaxitに直面することはありませんが、何か感情的な国民的なうねりを形成することは避けられないと感じました。学ぶことはいろいろありそうです。

    2000年以降のヨーロッパの動きについて詳しく書かれた書籍がこちらになります。主に南欧の研究者が中心になっていますが、新しい視点を得ることができるのではないでしょうか?