前回の続きの、トランプ大統領が行った非常事態宣言についての、CNNによるファクトチェックの記事を読んでいきます。
【英文ニュース】CNNニュースより
北朝鮮との関係
Trump: “In fact, (Obama) told me he was so close to starting a big war with North Korea.”
“事実、オバマ元大統領はもう少しで北朝鮮と大きな戦争が始まりそうだと言った。”
トランプ大統領がこの主張をするのは、北朝鮮との関係や彼が進めた進展について尋ねられる時だが、オバマ政権時の高官はトランプ大統領のその主張を真実ではないと言っているようです。
2016年11月10日に両者は会談しています。こちらはその会談に関する記事です。
この時にオバマは北朝鮮状況が非常に危険な状況にあると警告はしたみたいですが、戦争が始まるかもしれないなどとは言ってはいない様です。
【結論】オバマ大統領は決して、大小含めて、北朝鮮との戦争が間近であるとは言ってない、らしい。ただ、2016年9月9日に北朝鮮は5回目の核実験を行っており、また同年11月には国連安全保障理事会は制裁強化を行うなどしているので、当時の状況が緊張感を持ったものであったことは確かだと思われます。
自由に使える軍のお金?
Trump: “We had certain funds that are being used at the discretion of generals, at the discretion of the military. … Some of them haven’t been allocated yet. And some of the generals think that this is more important. I was speaking to a couple of them. They think this is far more important than what they were going to use it for.”
“私たちは、以前は司令官の裁量や、軍の裁量で使える資金を持っていた。しかし、今となってはそれらは機能していません。司令官の中には重大だと考える者もいます。彼らは、彼らがそれを何に使うかよりも大切だと考えています。”
この文章は意味がよく分からないのですが、たぶんお金を自由に使えるようしたい、とトランプ大統領が考えているのだと思います。
軍事予算に関して、オバマ政権による上限政策があり、しばらく歳出が抑えられていたという現実があります。こちらは国防費の推移のグラフです。
トランプ大統領はその上限を超えて、予算が組めるようにサインをしました。そのため2018年から増額されています。
トランプ大統領は、増額してるから少しぐらいは壁建設に回せるだろ、と軽めの感じで考えているように思われます。というのも次のような記事があったからです。
この中で、トランプ大統領は次のように発言したと書いてあります。
I’ve gotten $700 billion for the military in year one, and then last year $716 billion, and we’re rebuilding our military, but we have a lot. … When I need $2 billion, $3 billion, out of that for a wall … this is a very, very small amount that we’re asking for.
“7000億ドルもあるんだ、それは軍を再度強化するためでもある。しかし、多いよね、私はそのうちの、20億、いや30億ドルを壁のために、私たちが要求している額なんて、とても、とても、少ないだろ。”
しかし、予算は議会を通して厳格に決められており、簡単に変更できるような代物ではありません。
上院の歳出予算委員会の軍建設委員会(military construction panel)のブライアン・シャッツ氏は次のように言っています。
The Military Construction funding process is rigorous. The five-year plan comes from all service branches prioritizing key projects and the Committee funding it. Whether it’s dry docks or clinics or [hangars] or runways, there is not [$3.5 billion] to remove without dire consequences
“軍建設基金の過程は厳格なものです。その5年計画は基幹計画を優先化しているすべてのサービスの分枝から来ており、委員会が取り仕切っています。それが乾ドック、クリニック、格納庫、滑走路なのかどうか、差し迫った結果なしで取り除ける35億ドルはありません。”
【結論】正当な手続きなしに金額を得ることはできないし、都合よく使えるお金もないのが現実。
以上、トランプ大統領の主張のファクトチェックですが、非常に無理のある主張であることが分かります。トランプ大統領による非常事態宣言は異常ですし、いくつかの州は訴訟を起こしており、手続きを無視するその手法に対し、確実にNOの声が挙がってきています。
【参考】コチラがその訴状です↓