政治・経済・歴史的な

【英語ニュースを読む】麻生大臣の発言を考える。

いつもご覧いただき誠にありがとうございます。
さて、本日は、つい先日、麻生大臣の発言が話題になり、海外ニュースサイトもいくつか取り上げていたのでそちらを読んでいきたいと思います。

【英語ニュース】英ガーディアンからです。

個人的に斬新だったのが、最初のその紹介の仕方です。

Japan’s gaffe-prone deputy prime minister, Taro Aso, has been forced…

麻生大臣はそのように認識されているということでしょうか。「gaffe」は軽率とか、失言という意味の名詞で、「-prone」がつくと形容詞化します。「-prone」はおもにマイナスイメージで影響力のある人を記述するときに使用されます。

余談ですが、2017年までアメリカ副大統領を務めたジョー・バイデン氏も失言が多かったようでTIMEに次のような記事がありましたので載せておきます。

麻生氏発言の“産まなかったほうが問題”は社会保障費を圧迫する老齢人口に対する批判に答えたものなのではないかと思います。年始にあった、落合陽一氏と古市憲寿との対談で出てきた“高齢者の終末医療”に対する意見に対して言っているのではないかと思います。

日本の人口動態について

実際に、2018年の人口動態では出生数は92万人となり過去最悪を記録し、人口減少数(死亡数ー出生数)は44万人に及んでいます。
死亡数が出生数を上回るのは2005年に始まり現在まで続いています。

こうして改めてグラフで見ると、1974年以降の出生数の減少の大きさには驚かされます。

手元の資料では1947年以降のデータしかないのですが、1947年から1950年の3年間で約800万人の出生があります。例えば2016~2018年の3年間の出生数は約285万人なので3倍近く人が生まれていることになります。

そして、1947~1950年頃に生まれた方々が20歳になり成人年齢を超えてくる1960年後半~1970年前半に出生数の第二のピークがあります。グラフでは婚姻数も示してあります。婚姻数は1971~1973年にピークがあり、この同時期に出生数もピークを迎えていることがわかります。

この流れでいけば、およそ20年後の1990年前半にもう一度、出生・婚姻数のピークが来るように思いますが、グラフをみても大きなピークは来ていません。ただ婚姻数に関しては1990年から若干の上昇が見られます。一方で出生数は緩くですが下降しています。

なぜこの時期に婚姻は上昇したのに出生は伸びなかったのか?
それは産む子供の数が減っているからだと考えられます。
では、なぜ人々は婚姻から遠ざかり、子供を以前ほど多く産まなくなったのか?

平成4年版の「国民生活白書」は今までのそれとは違い、3倍近いページ数をつかって「少子社会の到来、その影響と対応」と題して書かれています。その賃金の推移についての表がありましたので引用します。

59年度 60年度 61年度 62年度 63年度 元年度 2年度 3年度
実質現金給与総額 1.3 1.1 2.6 1.8 3.2 1.3 1.3 0.7
実質定期給与 1.1 1.5 2.6 2.2 2.6 0.5 0.8 0.3

この表では、賃金は伸びていないことが分かります。将来にたいする賃金の上昇が感じられないとき、将来への不安が前面に出てくるのではないかと思います。そして結婚・子育てなどへの不安として上昇し、実際に少子化となっていくと考えれます。

次に20~60歳の人口と60歳以上の人口の推移を見ていきます。(ここでは前者を労働人口、後者を引退人口と勝手に分けます。)

次のようなことが分かると思います。

  • 1970年頃まで:引退人口の伸びは小さく、労働人口の伸びは大きい
  • 1970~1990年頃:労働人口は約1000万人増加し、引退人口も1000万人増加
  • 1990~2000年:労働人口は横這いが続き、引退人口は10年間で1000万人増加
  • 2000年以降:労働人口減少
  • 1970年頃までは低く抑えられた社会保障費と労働力人口の最大化が偶然にも起こり、大きく経済に寄与したのだと考えることができます。そして1970年以降は少しずつですが少子化・高齢化となっていくのが分かります。そういった状況の中でも、賃金を上昇させる方法などの具体的な政策が必要だと感じます。

    麻生大臣の発言の変化

    上記のガーディアン紙は麻生氏の2013年の発言の記事も紹介しています。今とは真逆のことを言っているように思えます。

    コチラの発言は終末期医療についてです。

    “Heaven forbid if you are forced to live on when you want to die. I would wake up feeling increasingly bad knowing that [treatment] was all being paid for by the government,” he said during a meeting of the national council on social security reforms. “The problem won’t be solved unless you let them hurry up and die.”

    “「あなた方が死にたいときに、生かされるのであればそれはあってはならない。私は良いとは思わなくなってきているのだが、すべて政府によって支払われるのはよくない。」と麻生氏は社会安全改革の会議上で語った。「問題は、あなた方が彼らに早く死んでもらわない限り解決しないでしょう。」”
    〈Heaven forbid ~〉は〈~はあってたまるか〉とか〈~はありませんように〉という意味です。

    そして、コスト面についても言及しているようです。

    To compound the insult, he referred to elderly patients who are no longer able to feed themselves as “tube people”. The health and welfare ministry, he added, was “well aware that it costs several tens of millions of yen” a month to treat a single patient in the final stages of life.

    “その非難をもっともらしくするため、麻生氏は年を取った患者のこと挙げているのですが、彼は自身では食べることができない患者を“チューブ人”と言っています。彼は「厚労省は月当たり1000万円が終末期のひとりの患者のためにかかることを知っている」と言っています。

    リテラによると、落合・古市発言が財務省的であるならば、2013年の麻生さんの発言は至極財務省的と言えます。そして彼は財務大臣でもあるのです。そして、今回の発言には反財務省的な意味合いはあるのでしょうか?分母を増やせという意味では財務省的ではありますが。

    消費税増税が間近に迫った今日、麻生大臣の発言の腹の内を考えることは、とても興味深いと思います。