政治・経済・歴史的な

【英語を読む】ミニマリストであることと、ミニマリズムという考え方

ネットフリックスでミニマリストについての番組が放送されたので、最近にわかによく聞くようになった「ミニマリスト/ミニマリズム」について考えてみたいと思います。

こちらがその番組です。

副題が「A Documentary About the Important Things」となっています。

「重要な物事たち」とあり、何か人生について問い返す意味を持つことは明らかです。

まずは「ミニマリズム」という考え方について知りたいと思います。想像しやすいイメージとしてヒッピーなんかを私はすぐに思い浮かべてしまうのですが、ヒッピーは反戦・性・自由などのけっこう政治的なメッセージを持っていたのに対し、ミニマリストからはそういったメッセージは出てきていなさそうです。

ミニマリズムとは何か?

ネットフリックスで登場した2人のウェブサイト「The Minimalists」を見ていきたいと思います。

What Is Minimalism?というページにミニマリストのあるべき姿が書かれています。

It’s quite simple: to be a minimalist you must live with less than 100 things, you can’t own a car or a home or a television, you can’t have a career, you must live in exotic hard-to-pronounce places all over the world, you must start a blog, you can’t have children, and you must be a young white male from a privileged background.

“それはいたってシンプルさ。あなたたちは100個以上のモノに囲まれて生きるべきじゃない。車・家・テレビは持てないし、キャリアもだし、言うのに憚られる場所に住まないといけない。ブログを始めないといけないし、子供も持つことはできない。そして特権階級の若い白人にならなければならない”

これを信じてはいけません。彼らはジョークで言っています。

OK, we’re joking—obviously.

たぶん最後の“特権階級の若い白人”といっているのは皮肉で、彼らは多くを持っていて、モノを多く捨て去る人々は絶対彼らのようにはなれないしそんなところを目指しているのではないと言いたいようです。

では改めて、ミニマリズムとは。

ミニマリズムとは

Minimalism is a tool that can assist you in finding freedom. Freedom from fear. Freedom from worry. Freedom from overwhelm. Freedom from guilt. Freedom from depression. Freedom from the trappings of the consumer culture we’ve built our lives around. Real freedom.

“ミニマリズムは道具であって、それはあなたたちが自由をみつけるのを手助けします。恐れからの自由。心配事からの自由。プレッシャーからの自由。後ろめたさからの自由。抑鬱からの自由。私たちが暮らす消費文化の罠からの自由。本当の自由を見つけることを可能とします。”

これを見ると、今のアメリカってどれほど病的なんだろうかと疑ってしまいます。

ミニマリズムは決してモノを持つことに対して否定的ではありません。それが注目するのはモノが人の意志を決定してしまうことへの注意です。そしてモノに囲まれることで選択ができなくなる、真に大切なことを見失ってしまうと考えています。

この図は幸福度度数と一人当たりのGDPの相関グラフです。(少し見づらいですがお許しください)。

アメリカの幸福度数は6.8です。決して低いわけではないですが、先進国ではアメリカよりGDPが低くても幸福度が高い国はあることが分かります。

GDPが全てではありませんが、日本はGDPのわりに幸福度は低めに見えます。

この幸福度レポートは2012から始まり、2018年版までがあります。賛否両論ありますが、注目されている指標ではあります。コチラからダウンロードできますので、英語の勉強もかねて読んでみるのもいいと思います。

アメリカの幸福度推移は2015年に7.12で最も高く、その年から毎年下がり2018年は6.89でした。一方のダウ平均株価は2015年の高値18,000ドルから2018年は最高値26,500ドル付近まで上がっています。

では一体何が幸福度を下げる原因になっているのでしょうか?

GDPと幸福度に見えるパラドックス

アメリカのGDPは戦後を通して大きく伸びているのに対し、幸福度は伸びていない、むしろ下降し続けている。それは何故なのか?2017年のレポートに問いかけがありました。

The central paradox of the modern American economy, as identified by Richard Easterlin (1964,2016), is this: income per person has increased roughly three times since 1960, but measured happiness has not risen. The situation has gotten worse in recent years: per capita GDP is still rising, but happiness is now actually falling.

“現代アメリカ経済は大きな矛盾を持っている。現在一人当たりの収入は1960年以来だいたい3倍に増加しているのに対し、幸福さは上昇していない。更に近年は悪くなっている。一人当たりのGDPはまだ上昇しているが、幸福さは今や実際には減少しているのです。”

何故なんだ!と。

America’s crisis is, in short, a social crisis, not an economic crisis.This America social crisis is widely noted, but it has not translated into public policy. Almost all of the policy discourse in Washington DC centers on naïve attempts to raise the economic growth rate, as if a higher growth rate would somehow heal the deepening divisions and angst in American society. This kind of growth-only agenda is doubly wrong-headed. First, most of the pseudo-elixirs for growth—especially the Republican Party’s beloved nostrum of endless tax cuts and voodoo economics—will only exacerbate America’s social inequalities and feed the distrust that is already tearing society apart. Second, a forthright attack on the real sources of social crisis would have a much larger and more rapid beneficial effect on U.S. happiness.

“簡単に言ってしまえば、それは経済的危機ではなく社会的危機と言えます。このアメリカ社会の危機は広く知られているが、公共政策(Public Policy)となって現れていない。ワシントンのほとんどの政策は愚かにも経済成長率上昇のための議論に終始し、それはまるでアメリカ社会の分断・鬱屈を解決できると言わんばかりです。この成長のみを見るアジェンダは間違っています。最初に、成長のための“偽りの”薬は、共和党が好きな終わりなき減税・呪術的な経済のことですが、アメリカの社会的不平等を悪化させ、すでに社会を引き裂いている不信感を増長させるます。”

以前こんな記事を書きました。

あわせて読みたい
Pythonでグラフをつくる:アメリカ宗教Pythonでグラフをつくる:アメリカ宗教...

アメリカ社会における宗教が果たしてきた役割や中間層の衰退・変化などが、上記の社会的危機の表面化の一因だと思います。

そしてミニマリズムは幸福度が年々低下し続けている現代のアメリカを象徴する動きだと考えれます。ただ彼らの求めるモノは自由であり、昨今盛り上がりをみせる、オカシオ・コルテスなど主張する“社会主義”とどのように関係しながら、今後のアメリカが形作られていくのか注目して見ていきたいと思います。