【今日の注目ニュース】
ハフィントンポスト紙より
アイルランドでの出来事です。
最近話題のイギリスのユーロ離脱問題ですが、その時話題に上る北アイルランドはUKを構成していますが、ダブリンを首都に持つアイルランドは一つの国家であり北アイルランドとは別です。
記事は妊娠中絶(abortion)の話です。
A woman has been refused an abortion at a hospital in Dublin, the Irish Parliament has been told.
The claim comes just two weeks after abortion became legal in Ireland.
妊娠中絶を拒否された、とあります。
なぜ大きく取り上げられるかというと、昨年国民投票をへて容認された妊娠中絶が今年1月1日より合法化されこれからというときに起きた出来事だからです。
“She’s pregnant on a much-wanted baby. But she is being told by doctors you can go to England,” she said,
“Her words to me were ‘this is not what I voted for. I have constitutional rights’.”
医者もイギリスに行けば…と言っているみたいです。
助動詞canを使ってるところが、遠回しに命令しているようで、今までの習慣に対する変更がもたらす感情的な戸惑いを見て取れる感じがします。とはいえ、憲法で定められている権利をその女性は持ちますので主張は間違ってはいないわけです。
彼女はイギリス行きも考えているとのことですが、イギリスは中絶が合法化されていて実際にイギリスで中絶を行う女性は少なくありません。UKでの妊娠中絶数の総計を示したのが次のグラフです。
年間20万件を超えた年もありますが、近年は19万件付近で一定になっています。こうなると日本の数字も知りたくなり調べて見ました。次のグラフが日本での妊娠中絶の件数です。
1991年、1992年は年間40万件でその後2000年代初頭まで30万件台を推移しています。そして2005年に28万件になり、そこから減少率が大きくなり2017年では16.7万件まで減少しています。
私の驚きとしては2000年代ですら年間30万件の妊娠中絶が行われていたことにあります。知らなかったといえばそれまでですが、数万件ぐらいに思っていました。
この中で疑問があります。
なぜ1991年からみて25年ほどで件数が1/4まで減少したのか?
2000年以降の性教育シーンについての記事を調べてみても、どうも教育現場は性教育に積極的でないという見方が多い。またピルの普及率をみても高くない。とするとこれらの面は妊娠中絶減に大きく影響していないように思えます(データはありませんが)。
では単純に人口減による影響がそのまま中絶数減少に影響しているのか?
以下が、1991年を基準としての妊娠中絶数・総人口数・14~49歳人口数の減少率をグラフしてみたものです。
人口はなだらかに減少しています。一方で中絶数は大きく減少しています。人口減少にただ比例しているだけではないことがわかります。では一体ここまで中絶数が減少する理由は何か?
すみませんが、答えはわかりません。
考えられる理由を少し挙げてみます。
- 今までが異常値だった。⇒【新たな疑問】その原因は何か?
- 保険適用外(12週内で約10万円、12~22週内だと30~50万円らしいです)のため、そのお金の捻出が困難。⇒【新たな疑問】妊娠女性の貧困比率との関係はあるのか?
- 避妊に対する知識が少しずつではあるが浸透してきている。
- 中絶に対する否定的な空気がある。
上記は私の予測で何も根拠はありません。
今回中絶について考えてみましたが、非常に難しいテーマとなった気がします。しかし数字を見るとびっくりすることも多く非常に有意義ではありました。人口問題に関係もするし、人間的なテーマでもあり、また今後も引き続き考えていきたいと思います。